Lafcadio Hearn 明治時代に来日した日本研究家で、帰化後は小泉八雲の名で知られたラフカディオ・ハーンの作品(翻訳者は戸川明三)。原話は町田宗七編「百物語」の中の第33席、御山若松の話、いわゆる“のっぺらぼう”の話である。筋はほぼ同じながら原作と異なる八雲の再話部分がいくつかあるが、その注目すべき一つは、化け物の正体が「かわうそ」から「むじな」に変えられたことである。これは、八雲が幼時に見た顔のない幻の話を妻セツの養母が「顔なしの怪物なら貉」だと言ったことによる。日本人の読者ならたぬきを知っているためにおかしみがあるが、日本語を知らない英語の読者には、得体の知れない怪奇な印象を残すことになる。
Genres:
Short StoriesHorror
5 Pages